主観的トリガー言語モデルによる意見情報検索

本研究では，遠方にある語の関連性をモデル化するために考案されたトリガー言語モデルを用いて，意見情報検索を行うための枠組みを提案する．このため，まず主観的意見は主たる二つの構成要素を持つことに着目する．一つ目の構成要素は主観的意見を持つ主体，あるいは批評の対象であり，もう一つは意見を表す表現である．これをトリガーモデルに当てはめると，前者はトリガー，後者は非トリガーと考えることができる．これらの語の対（トリガー対）は，意見を記述した文章から統計的に発見することができる．本研究では，このように発見されたトリガー対を基に構築した主観的トリガー言語モデルを情報検索システムの再順位付けに利用することで，意見情報検索を実現する．実データを用いた評価実験により，本提案モデルによって意見情報検索の性能を大きく向上させることが可能であることを示す．また，トリガーモデルをクエリに動的に適応させることで，通常は向上が難しい種類のクエリについても検索性能の向上が可能であることを示す．